Let’s石抱小屋! (いしだきごや  by銀山平)
投稿者:野良屋  投稿日:2002年 4月21日(日)

 あぁ、我が故郷、我が別荘、、、
 最愛にして最強の宿屋?
 それが石抱小屋なのダ!


 銀山湖に行った人は一度は見てるハズだが、
どの雑誌にもNET上でも紹介されていないの
はナゼか?

 オレだから言える。 もしも当時、開口先生がフィッシュオン執筆時にココに泊まって居たならば、今の日本文学界とルアーフィッシングの歴史は大きく変わっていたであろう...


 今を去る事20年位前、当時高校生だったオレは銀山で釣りがしたい一心でTELを掛けマクリ、
銀山平キャンプ場でバイトをして居た。
その時から石抱小屋にお世話になり、もちろん今も尚続いている。
 まったくもって商売っ気がナイ。酒一升で泊めてもらったり、手土産の菓子と引き換えに船を貸して
もらったりナンテ事も、、、今も尚続いていたりする...(^^)ゞ
 いや違う、いつになってもガキ扱いされてるにちがいナイ!
それが証拠に、船の予約をしても御客が優先であって、オレは客ではナイらしい...(^^;
釣りが終わってからも船の燃料補給をしたり、浮き桟橋を移動したりとか、色々と試練を言いつけてくれる。


 完全固定客(常連)しか受け入れず?、オレもその片隅に居られる事は光栄でアリマス。
日常茶飯事、良く聞かれる一見さんとの会話
  「こんにちは〜、釣りに来たんですが船は有りますか?」
  『船なんねぇ〜っや!』
とか、
  「こんにちは〜、今夜の部屋は有りますかね?」
  『部屋なんねぇ〜っや!!』
とかとかとか...
年寄り2人で切り盛りしてるので、よほど気が乗らないと対応しないのデス。
また、詐欺師まがいの大馬鹿者も来るので、得体の知れない人には貸したくないらしい。
いや、昼酒飲んでいるのでメンドクサイらしい。
でも、女性だと即OKらしい。 ( ̄ー ̄)ニヤリ


 雪が積もる冬場は里に降りるが、4月の頃から爺・婆でここに棲み付く。
たしか一泊6000円。天井の低い居間?がVIPルームなのだ。
数年前までは囲炉裏があり、白樺の皮一切れで薪に火を移すのは見事な技であった。
 お客用の料理は見た事が有るが食べた事はない。
怪しい山菜・怪しい茸、懐かしい田舎料理が酒の肴に登場したりする。
初めての人は100%抵抗があると思うが、通い慣れると200%満足するのだ。
 宿屋だと思ってはイケナイ、田舎の爺・婆に会いに来たと思えばココの住人になれる。
酒が入ると爺・婆が昔話や山のよもやま話しをしてくれる。
いきなり怒鳴ったり、相づちを打つ間もなく話しが飛んだりするのを聞くのは慣れが必要。
また、目を細めて語る爺様の自慢話しに、間髪いれずにツッコミを食らわす婆様のタイミングは絶妙。


 そんな石抱小屋が大好きなのです。
銀山平にかかる由緒正しき石抱橋、それと同名の宿屋は今も尚健在なのです。
口コミのみで宣伝はしない、選ばれた者のみぞ知る宿屋、それが我が石抱小屋なのです!

 大正生まれのオシドリ夫婦、UFOが飛来しようがスカイフィッシュが捕獲されようが、
ここにはなんら影響はゴザイマセン。
湯之谷村村議を揺らした移転問題も、石抱小屋には通用しなかった。
 イヌワシもカモシカも大イワナも、ツキノワ熊でさえも石抱小屋には勝てません。
いや、石抱小屋に勝てない訳ではない、
実は、ここの爺様に勝てないのダ!!!
          (^^;

              (^^;

          (^^;

              (^^;

          (^^;

              (^^;

          (^^;

              (^^;

          (^O^)v

ではコレより、
Let’s石抱小屋のジイちゃん!
 をお贈りいたします。

 『ねら、
 何んしぃ来た
  がだいゃっ!』

 NETで世界中検索しても、このネタを掲載してるのは当HPだけ!
(尚、以下に書いて有るのは、すべてジイちゃん&バアちゃんからの話しに依るものデス)

 大正生まれ、強靭かつ最強の肉体と精神!
数年前、ジイちゃんは冬場に病に倒れた。腿に血栓が詰まっていたらしい。
がしかし!!
医者どん曰く、
  あなた程の心臓は見た事無い!
  常人であれば、ここまで放っておくと間違い無く片足切断です。
  人の2倍は有ろうかと思われる心臓が、血栓をもろともせずに血液を送ってたのですよ。
  どうですか、学会に発表したいので御協力願えませんか?

 『嫌だいっや!!』(キッパリ)

 ジイちゃんが子供の頃にはまだ銀山湖などは当然無く、親父はこの山で山仕事をしていたらしい。
遊びと言えば野良遊び、ナント!里の子供がオニギリを持ってココまで遊びに来ていた!
そりゃ、心臓もデカクなるわナ。
 ナニして遊ぶって?
腹が減ったらイワナを手づかみにして、親父の小屋から味噌をもらって来てオニギリと供に♪
只見川から遡上して来た鱒(サクラマス)は貴重な御馳走。
イワナなんぞは子供の遊び相手程度だったらしい。



ジイちゃんから聞いた逸話・武勇伝!(心して読む様に!)

@若かりし頃、村一番の色男でブイブイゆわしてたらしい。

@村の相撲では土付かずだったらしい。

@当然、熊と戦った事も有るらしい。(見上げる程の大熊が、拳一撃で沢に転がり落ちた?)

@軍隊で銃剣術で生意気な上官をヤッツケ、その功績で戦争には行かなかったらしい。

@大虎になって警察に連行された時、隙を見て逃げ出して家で一杯飲んでたそうな、
 その後すぐに警察署長がやって来て、逮捕してしまった事を後悔して詫びを入れたそうな。

@ウサギを撃ちに山に入った時の事、『最近ウサギが獲れないが、おめぇが食ってるんだろ!』
 ・・・と、木の上にいた大鷲を撃ち落としたそうな。(昔ね昔)

@ゼンマイを採りに山に入った時の事、ゼンマイをクラシシ(倉獅子=カモシカ)に食われていたそうな、
 薮の先には口をモグモグさせていクラシシが居た。『おめぇが食ったのか!』
 拳一撃でクラシシはKO!(昔ね昔)

@冬場に里の自宅で、双眼鏡で毎日近くの山のクラシシを見て退屈をしのいで居たそうな、
 ある日を境に毎日見て居たクラシシが姿を消したそうな、
 近所の若衆にカマ掛けてみる、『ねら、おが毎日見てたクラシシがどこに行ったか知らねぇか』
 次の日、「爺様、ウサギを獲ったが食ってけぇらっしゃい」(ホントにウサギなのか?...昔ね昔)

@数年前の腿の血栓の手術の時、看護婦に毛を剃られて立ったらしい。

@その時に脊髄麻酔で、注射針が6本も折れたらしい。

@まだ言い寄って来る女(婆?)がワンサカ居るらしい。

@釣り客と飲んで、明朝釣り客は再起不能で釣りに行けなかったらしい。
 とても酒代は請求出来なかったらしい、、、
 それが年に数回は有るらしい、、、

@若い女性客が来ると、自慢の船でクルージングに出掛けるらしい。

@釣りの名人らしい。

@まだまだまだまだまだまだまだかだ、御迎えは来ないらしい。。。


・・・・・そろそろバアちゃんのツッコミ 「なんし、コケ!」



 当時オレが高校生でバイトしてた時、忘れもしない真夏の夕立ち後に40オーバーのイワナを
釣ってジイちゃんに見せに行った。
  「どうだい、このイワナ♪」
  『げの小っこいイワナは放して来いっや!』
 でも、ジイちゃんは晩酌中の赤い顔で目じりを垂らして微笑んでくれた。



 ジイちゃんが足腰が悪くならなかったら、今でも銀山平は平和な大イワナの湖で有ったと
言うのを風の噂で聞いた。
若旦那衆(50歳前後)も村議も、もうジイちゃんの拳は怖くはなくなってしまったらしい。
 移転問題でも、石抱小屋は移転を拒否して同じ場所にある。
ジイちゃんは蛇子沢新天地にも、一歩も入った事が無いと言う。
 『銭・金じゃねぇ、おらぁ家はここだ...』
 『にしゃまだ居るがか、来週の船は出すすけに、早帰れっや! カカが心配してるぞ!』



  銀山湖に石抱小屋あり、
  そこの船を見ると大イワナもワカサギの如くおとなしくなるそうな


  銀山が変わっても、オレはそんなジイちゃんが大好きです。
  オレはまだまだ銀山に通うので、ジイちゃんも長生きしてくれよ。
  例えイワナが釣れなくなっても、ジイちゃんに酒持って会いに行くからね。



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