Let’s My Knife! 
投稿者:野良屋  投稿日:2001年  7月  9日(月)  


 正直言って、オレにはオピネル一本で十分だった。
でも、仕事で金属加工をしているので、つい遊び心が出てしまった。
ベルトグラインダー無しでも、ナイフ位ならば作れるハズ。
毎日の加工技術で、どんなナイフが出来るか?

 材質はSKD−11、クロムが12%も含まれているダイス鋼なので、耐食性も程々に有るし、硬度も申し分無い。
これを上面からのプロフィールで、ヒルト込み、先端のテーパー込みでプログラムを作り、WIRE放電加工機で抜き出す。
ベルトグラインダーでは出来ない(しない)特殊な完全一体構造。

 図面通りに穴加工を済ませ(ステンレスより幾分マシだが、嫌な金属だ)、グリップ面のプロフィールを作り上げて行く。寸分の加工誤差もない見事な仕上がりで、やっとナイフらしく見えてきた。

 さて、ホローグラインド風な凸電極を作り、ブレードは放電加工。ここがナイフの命だ。後の磨きを考えて、最終5μmまで面粗さで仕上げる。
お〜、まるでナイフだ。

 丁寧に放電目とフライス目を磨き落し、ここで熱処理に出す。HRC58〜60で。

 ハンドル材は布ベーク(リネンマイカルタ?)、ファスニングボルトも図面通りに機械加工。イイ仕事してるゼ!

 熱処理も終わり、ミラーフィニッシュに仕上げる。エポキシ接着剤を塗って加工済みのハンドルをファスニングボルトで締め付ける。
何回も握りながら、ハンドルを手に馴染む様に仕上げて行く。これだけは機械加工では出来ない。

 素晴らしく高精度だ。隙間1つ無い。思いの他ナイフらしい仕上がりだ。
 シースも作って(糸はケブラー)、自慢出来る逸品の完成!
 果たして、これを「手作り」と呼べるのだろうか?



これがWIRE放電加工機での切り出し。ジグソーの電気版みたいな機械。

型彫放電加工機にセット。ホローグラインドの逆凸電極で、素材を微細なパルス電流で彫る(削る?)

ここまで加工すると、後は一般的なナイフ製作工程と同じ。







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