バックラッシュ撲滅運動

第一章:バックラッシュは人為的現象
 ベイトリール使いの皆さんに捧ぐ。
バックラッシュはリールの標準装備とか税金などと思っていないか?
起きてしまうのだとか、仕方がないとかなどと考えていないか?
バックラッシュは起きてしまうのではなく、あなたが起こしているのだとの自覚をして欲しい。

 ベイトリールはカッコイイですか? バックラッシュさせてる姿はとてもカッコワルイですよ。そんな事をしてる様では釣りになんてならないでしょう。どうです、スピニング勢にバカにされたくもないでしょう。コントロールも釣力もダイレクトさも遥かにスピニングを上回ってるベイトリールです。私に言わせれば、暗闇でも安心して投げられ、どんな高級なスピニングリールよりもライントラブルの少ないリールだとも思って長年に渡り愛用し使いこなしています。

 いつまでも自転車に補助輪を付けて乗ってる人も居ません。バランス感覚を身体で覚え、二輪でも平気で走れるでしょう。ベイトリールも同じ事で、いつまでもブレーキに頼っていても上達しません。これはブレーキを外せの意味ではなく、ブレーキはあくまでも補助であり、親指を鍛えて初めてベイトリール使いになれるのだと言いたい。
 メーカーがいくら高性能ブレーキを搭載した機種を出そうと、使う人が意に反して無理にバックラッシュさせているのだからしょうがありません。バックラッシュの起き難いシステムがあろうと、起き難いだけで防げるワケにあらず。
 身を持って知っての通り、ベイトリールはキャスティングに特殊な技術を要します。この技術の会得こそがベイト使いの誇りであり、そのベイトリールのメリットを活かして素晴らしい釣りになる事でしょう。


 バックラッシュ=オーバーラン
 簡単に需要と供給の関係だと考えます。ルアーが飛んでいる速度(需要)よりも、スプールが放出しようとするライン速度(供給)が速い時に発生します。需要よりも供給が多くなると、余った供給が絡まってしまいますね。簡単にバックラッシュを起こさせない為には、需要=供給か、需要>供給の関係を常に保たねばなりません。需要<供給がバックラッシュなのです。
 ならばブレーキを強めて需要>供給との考えは、正しくも安易に正解だと言えます。試しに20g位のスプーンでも結び、ブレーキをガンガンに締めて軽くキャストしてみてください。飛距離なんて出ないでしょう。でもバックラッシュも起きないでしょう。そんな事はアタリマエのコンコンチキなのです。それでもバックラッシュしてしまう人は、根本的にベイトキャスティングに不向きなので、早急にスピニングリールを買う事をオススメします。(笑)

 たとえソレでもベイトリールが好きだと、愛しているゾと、このリールで釣りたいのだと!
そんなあなたは将来有望ですので、この先に書く事を真に受けて熟読し、実践してください。物理学もトーナメントキャストも知りませんが、私の経験値からのバックラッシュ解析を余す事なく書きます。

 余談ですが、それは今から30年も前、初めて手にしたベイトリールはダイワのミリオネア3Hでした。
今思えばABU5000?のフルコピーで、今思えば・・・ミソクソでした。(爆)
その後に憧れのABU2500Cを買い、これ1機で何でもこなし、今でもまだ使い続けています。
そして超憧れのABU5000Cを。
更には時代の流れに身を任せてシマノのスコーピオン・メタニュームXTを。
あまつさえABU7000を買いの、投げマクリ!!
最近では魔が刺してABUのREVO/STX-HSを。
全てはABU2500Cと5000Cに依って感覚と親指が鍛えられたと言っても過言ではありません。
フルに巻いたラインの重いスプールと、ミノーでもスプーンでも替えずに付けっぱなしの遠心ブレーキ。簡単に技術関与出来る調整はメカニカルブレーキのみで、親指(サミング)なくしてリールを扱う事など不可能だと悟りました。このABUで身に付いてしまった親指をもってすれば、その後に買ったメタニュームもREVOもオモチャ同然。もっとブレーキを弱め、もっと飛距離を出す喜びを味わえました。高性能ブレーキも軽量スプールも、親指を持ってして最大にポテンシャルを出せるのです。

 結論:ベイトリールはブレーキで投げるのでなく、親指で投げるのだョ諸君!!



 バックラッシュ云々を問う前に、あなたのシステムは適正だと言えますか?
ロッドに適正負荷がある様に、ベイトリールにもそのリールに適したルアー負荷があります。でもロッドには親切に使用ルアー重量が書いてありますが、ベイトリールは箱にも取説にもそんな基準とされる様な謳い文句は書かれていません。まぁ仮にも2g〜10gとでも書いてあったとしましょう。でも同じ2gのスプーンでも2gのミノーでも同じセッティングだと思ってる方は居ませんよね。

 まず前提として、私は対象魚によりセットを使い分けます。
1本のロッドと1機のリールのみで、渓流のヤマメから大川のサクラマスでは無理があります。(笑)
もしも20pのヤマメと60pのレインボーが混生してるエリアならば、迷わず60レインボーをターゲットとしたシステムで挑みます。使うのは10ftのダブルロッドにABU5000Cをセット。ルアーはいくら軽くても6gのミノーですし、主に10g以上のスプーンを多用する事でしょう。いよいよ釣れずに半ベソかこうと、このシステムで2gのミノーを投げる事はありません。それ以前に、手元にそのサイズのルアー自体を持って来てないでしょうから。
 対象魚が決まれば自ずと使うルアーも決まり、それに値するロッドとリールをチョイスします。
逆に言えば、ABU5000Cを使いたいが為に対象魚を選び、そのリールが求める最適なルアーしか選びません。もしもここで13gのスプーンでも与えてくれたなら、例え背中越しにTVカメラが回っていようとも100発100中きっとバックラッシュなど起こしませんよ。

 どんな状況になるか不明、釣る為には許容範囲外のルアーを投げる事もあると憤慨してるアナタ!
最初に「まず前提として、」と書いておきました。そんなあなたはABU7000を管釣りロッドにセットし、1gのミノーが投げられないよと、一生泣いて頭を抱えていればヨロシィ。この位大袈裟に書かないと、テキストで説明する事は難しいのです。

 まず前提として、私はそのセットで安心して投げられるルアーしか使いません。
ロッドにはその反発力を最大限に引き出す荷重があり、メーカーさんは親切に表示してくれています。しかしながら、同じ重さのルアーで近距離狙いと大遠投では、ロッドに掛かる負荷が異なります。だからこそサミングでの制御が必要になって来るのです。




                                                                     
第二章:バックラッシュの発生解析と対策
 あなたは軽い糸フケ程度であればまだしも、ラインがスプール内で絡まって出なくなってこそ、胸を張って堂々と「バックラッシュさせてしまったゾ」と自慢出来るでしょう。
 そこであなたはモツレを解きにかかります。生半可にキャストされたルアーはもう流されて沈んでますよ。スプールを凝視し、片手でラインを小刻みに引き出してる独特な姿。その姿は遠くからでもソレと分かり、とっても恥かしいですネ〜。もしも視線を感じたならば赤面して振り向き、「どんまい!」とでも言ってみてください。
 いやはや、でもこの程度の絡みで助かったと、早急にラインを巻き取りましょう。でもあらあら、オヤクソクでルアーは根掛かりしちゃってます。引き出したラインと一緒に下流まで流されて、どこかで根掛かりしてます。引いても緩めても外れません。さっき結んだばかりの新品ルアーなのに、、、泣く泣く切る事となります。一部の望みを賭け、ラインを腕に巻き付けて思い切り引っ張ります。プチンッと、するとどうでしょう、ラインは意に反して手前で切れてしまいました。さっきバックラッシュを解こうと何度も引っ張ったり、爪で擦ったり、ラインに無理強いさせた痕から切れたみたいです、か。

 結論:バックラッシュは百害あって一利ナシ!!



 バックラッシュの発生ポイントは3ヵ所あります。
@初期バックラッシュ
キャストした瞬間に発生し、被害も多大でラインは絡まりマクリ、ルアーは目の前にポチャ。
その大半はキャストが不上手い為に起き、ブレーキ云々では防げないのが特徴です。


A飛行中バックラッシュ
ルアーの飛行中に需要<供給になると発生します。
ブレーキ設定よりもルアーの減速が大きいと発生し、特に軽いミノーや重くても空気抵抗の大きなミノー等。スプーンで発生する時は、飛行中にバランスを崩して失速し易い形状等。
ブレーキ調整で防ぐ事が可能で、サミングを兼用すれば100%防げます。
また、ふと見たらバックラッシュを起こしてるなんて状況は、@の続きの可能性があるので注意が必要です。特に飛行中後半に起き易いので、発生を目視確認出来ますのでスプールに注目の事。


B着水バックラッシュ
ルアーの着水時に発生し、当然ながら需要<供給にて発生します。
これはブレーキ調整に頼らずしても、サミングで100%防ぐ事が可能です。



 ・・・と言う事は、ABを100%克服すれば勝ったも同然か?
まさかそんな安直な、、、問題は目にも止まらぬ速さで発生する@なのです。
@はとてもテキストで解説出来ませんので、後章で徹底解明いたします。
ABに関してはテキストのみでも説明と対処が可能なので下記にて。

 尚、遠心ブレーキとマグネットブレーキはおよそ用途が同じなので回転ブレーキと記します
スプール軸を押すメカニカルブレーキ及びキャストコントロール?は機械ブレーキと記します。
回転ブレーキは回転力が速いほどに効き、逆に着水時の頃にはほぼ効いてないと思ってください。回転が速ければ速いほどにブレーキは強く掛かり、減速させようと作用しています。残念ながら初期制動が強いので、回転ブレーキを強める程に飛距離も犠牲になってると覚えていてください。
一方機械ブレーキはスプール軸に一定の負荷を掛け、全速全域で同じブレーキ力だと思ってください。初速をあまり食われないので、多少強めでも飛距離に大幅な差は出ません。

 いずれにせよ、ブレーキは飛距離を落とす装置である事は明白です。
ココゾとばかりに力んでフルキャストし、瞬時の初期バックラッシュでラインが切れて大ホームラン♪
そんな経験はあるでしょう。ブレーキもラインも無いと、あんなにもルアーは遠くまで飛ぶのです。(笑)
理想は需要=供給に少しでも近付ける事。
ソレはブレーキが勝手にしてくれる事でなく、あなたの親指なくして実現出来ない技なのです。



→A飛行中バックラッシュの対処
これは単純に回転ブレーキを強めてください。
または機械ブレーキを少しずつ強めてみます。
ルアーがスプールのラインを引っ張ってくれる状況を作れば100%防げます。
また、親指で回転中の糸フケを感じる事が出来れば、こんなバックラッシュは皆無になります。


→B着水バックラッシュの対処
ルアーが着水と同時にスプール回転は0にならなければなりません。
これは単純に機械ブレーキを強めてみてください。マニュアルにも書いてありますが、ルアーを付けたロッドを水平に構え、機械ブレーキを締めた状態でクラッチを切ります。ロッドを小刻みに上下に振りつつ、その振った分だけラインが出る様に機械ブレーキを調整してくださいと。
 ルアーが着水したら回転が止まる強さにすれば、当り前に100%防げます。がしかし、ブレーキなど調整せずとも、どんな重さのルアーに交換しようとも、もっと100%防ぐ絶対的な方法があります。それは、
 『着水する前に自分でサミングで止めてください。』(キッパリ)


→→ABサミングの有効性と必要性
キャストしたら最後、ハンドフリーで安心のセッティングが出せると自慢する人は一生上達しません。
影でコソコソと恥かしくも片手をせっせとバックラッシュ直ししてるのが現状かと思います。
“釣り”を成熟させる為にも「許せる範囲のバックラッシュ」なんて許してはならないと考えます。
糸フケ0を目指し、徹底的にサミングを活用しマスターして頂きたい。
そして、飛距離を出す為にも必要最低限のブレーキにし、サミングでコントロールせねばなりません。

 私は常にスプール回転を親指で読んでいます。それはルアーが飛行中でも着水時でも、サミングによって回転を読み取って制御しています。仮に地面に置いた的を狙ってボールを投げてください。手からボールが離れた時点で物理的にも方向と距離が決まってしまい、その的に入れるのは容易な事ではないでしょう。しかしルアーキャスティングの場合、飛行中のルアーと手元のリールとはラインで繋がれています。キャストした瞬間に方向は決まってしまうが、予定落下点よりも手前に落とす事はサミングによって意図して可能なのです。キャストした後でも手前側には軌道修正が可能であり、ドンピシャにセッティングの出たリールでサミング無しでの自然落下と、その同じ人が同じリールを使ってサミングを併用して目標地点に落とすのと、どちらが多く的を射るかは考えずとも明らかでしょう。

 今までもキャスティングを教える時にはきっとこう言って来ました。
  ルアーは落ちるのではなく、ルアーを落とすのだ。
  10の力で投げ、サミングによって9の場所に落としなさい。


 どんなに遠投が必要な状況でも、必ずサミングによって故意にルアーを落とします。最終的にサミングでスプールを止めるのですから、上記のBは絶対に起こりません。例え機械ブレーキがユルユルであろうと、着水時には先にスプールを押えてますので、これが100%であって絶対なのです。
 また、その動作はいつ始めるのか?
実は先に書いた様に、キャストの瞬間からスプール回転を親指で読んでいます。バックラッシュさせない為の親指であり、飛距離を出す為の親指であり、ポイントにドンピシャに入れる為の親指でもあるのです。回転を読む感覚を会得すれば、暗闇でも平気でベイトリールを使う事が可能です。暗闇でも目を瞑っていてでも同じ事で、着水点が全く見えていなくとも、目標らしき方向にルアーを自分で操作して落とすのですから。

 サミングは決して回転を止めるだけの動作ではありません。耳では微かなベアリングの音を聞き、親指の腹でスプールの回転とラインの放出状況を読み、それを必要に応じて制御します。ほんの少し触れただけでもAは回避できますし、徐々に触れて徐々に故意に減速させ、その感覚を覚えるとルアーが着水したと同時にピタリと回転が止まります。
 従来の教え方は「着水と同時にサミングしなさい」でしたね。そもそもその教えが誤りで、サミングはギュッと力を入れて回転を止める為の行為みたいな教え方が、この様にバックラッシュは当然の事の如くに蔓延させる元凶になっていたのです。クソ重いオールドABUを使い、ほぼ万年同じ遠心ブレーキで鍛えて今に至るベイトマスターの方々には、そんな甘い考えは期待ほども持ち合わせていません。親指での制御なくしてベイトリールは投げられないのだゾと、一冊の本が書ける程に苦汁を舐めつつ身体でその感覚を覚えて来ました。
 がしかし、今の高性能リールならばその必要はないと言い切れるか?
ではなぜこのページに辿り着いたのかと、何の為にここまで食い入る様に読んでいるのかと、昨日の釣行で鳥の巣状態になった再起不能なリール見つめ続けている必要もないですので、そのラインを切り刻んで新品に巻き替える前にも、心を無にして初めてベイトリールを手にしたあの日に帰り、この世の中からバックラッシュ根絶と撲滅を叫び、広辞苑からもその単語を消し去るつもりでお進みください。




第三章:初期バックラッシュはなぜ起きる?(注:起こす)
 この章が一番の本番なので心して読んで頂きたい。ベイトキャストとは言わず、スピニングキャストでも理屈的には同じですので、これを読んで実践すると即結果がわかるでしょう。

 まずはバックラッシュをさせる前に(笑)、下記の図1・図2を見てください。
これは同じロッドに、方向の違う同じ負荷を掛けた図です。
図1はロッドを水平にして直角に負荷fを吊り下げたのも。
図2はロッドを垂直に立てて平行に負荷fを吊り下げたもの。

同じ負荷fでも、ロッドのどの方向に作用するかでたわみ量aとbにこんなにも差が出るのです。
このたわみ量aとbが何を表わすか、実はこれが初速の差となって表れます。
実際にキャストする時に発生する負荷fは、ルアー重量とその慣性力、それと空気抵抗。
この図は固定しているロッドに錘を吊り下げた絵なのだが、あなたが自分のロッドで実験しても同じ様な絵になりますので御安心を。

 この絵は固定ロッドに固定負荷を与えているのでこれ以上は動きません。
しかし実際のキャストではロッドを振る事に依ってルアーの慣性力でロッドが曲がり、ロッドの復元力でロッドは真っ直ぐになろうと運動します。この時のロッドティップの速度こそ、図1よりも図2の方が速くなければ計算が成り立たなくなってしまいます。そうなのです、同じロッドに同じ負荷を与えても、ロッドに対しての負荷の作用方向に依って図2のロッドティップの速度の方が速くなってしまうのです。




 問題の初期バックラッシュが発生する原因の一つが下記になります。
☆リリースタイミングが早い
 下の図3を見てください。ロッドがまだ曲がってる状態Aでリリースしてしまうと、負荷を失ったロッドは初速1よりももっと速い速度で真っ直ぐになるBまで移動します。Aでスプールはフリーとなり、初速1と同じ速さで回転すればバックラッシュなどは起きないのですが、ルアーの負荷を基点として速度A-Bでスプールは回転し、更にはスプールを回転させるエネルギーとして初速1も食われてしまいます。
 なんともロッドの復元力でルアーの初速よりも速い回転になってしまい、挙句に初速も食われてしまったら完全に需要<供給になってしまって瞬間バックラッシュなのです。
 リリースタイミングが早い程にルアーの軌道はフライぎみになり、「おぉ〜高く飛んだ♪」などと思ってると手元は再起不能状態です。だがこの時点でも親指で回転を読んでさえいれば、被害は最小限で防げるものなのです。




 初期バックラッシュが発生する原因のもう一つが下記になります。
☆ロッドの余力
下図4にて、ロッドBでリリースしたルアー2がベストなタイミングだとします。がしかし、あなたのロッドは勢い余ってCまで振り抜いてしまいます。するとやはり全項と同じ現象が起こります。初速2で瞬時に3まで飛行するも、本来出るべき長さ3-BなのにロッドがBを越してCまで勢いで行ってしまった為に3-Cの長さが引き出されます。これもやはりルアーの負荷を基点としてリリースされたスプールはロッドの移動に伴なって初速以上に回転し、その回転抵抗により初速も食われる事を意味します。
 実は、この絵はまだカワイイほうなのです。実際はキャストした後にロッドで水面を叩く人もあり、言いたくはないですがバックラッシュ以前の問題かとも思います。

 もしもですが、BでリリースしてBでピタリとロッドを止める事が出来れば、初期バックラッシュなどは起こりません。この図4でも、Aでリリースしたり、BでリリースしてもロッドティップがCまで行ったりしてるからこそ、瞬時に初期バックラッシュを発生させてしまうのです。実際の現場では、Aでリリースして更にCまで行ってしまって無残な結果でしょう。

 この様に、一番頭を抱えて苦い思いをしてるのが初期バックラッシュであり、ブレーキ云々の問題ではなく、あなたが故意にバックラッシュを起こしているのです。




 私は下記の図5の様に投げています。
経過を分解して描きましたが、実際のロッドの動きと位置関係がこの様になってると思います。
ここで図1と図2を思い出してください。
→左から大きくロッド全体を曲げて力を貯め込み、
→→頭上でトップスピードに乗せ、
→→→右手を前に突き出してロッドエンドを右肘に突き当てる様にギュッと引き付けてリリース!!

 ロッドが円を描く様に投げてはいけません。ソレ即ち図4の様になってしまいます。
リリースポイント=フィニッシュはルアーの飛行方向にロッドを突き刺す如く、図1の状態から図2の状態に瞬時に転化するのです。これはもっと初速を上げる事と、ロッドの余力振れを抑える事が出来ます。いつもダブルロッドを使っていますが、シングルの場合はリリース寸前に手首をギュッと反す動きが同じ効果になります。オーバーヘッドもサイドもアンダーでも同じ事です。そしてリリースタイミングは身体が覚えてしまっているので、初期バックラッシュを起こさないのですよ。
 この絵では不十分ですが、実際はルアーに円を描かせる様に遠心力を与えているつもりでキャストします。スプールが滑り出す程のラインテンションと、リリースした直後のロッドティップの僅かな余力振れでスプールに回転エネルギーが発生し、超ベストな状態では初速が食われず、紙一重の需要<供給か需要=供給の状態を作り出します。

 大切なのはイメージをする事。
大きく力を乗せ、剣道の面!で寸止めをするつもりで腕を突き出してピタリと止める!!
ルアーの飛行方向に真っ直ぐにロッドは向いてますか?
突き刺してください、投げる宙に向かって瞬時に突き刺してください。
ルアーは意に反して空高く舞い上がっていませんか?
ロッドが水面を叩いていませんか?
バックラッシュを起こすのも防ぐのも、ブレーキでなくてあなた次第なのです。




第四章:サミングの感覚をおぼえよう

 さて、使い慣れたロッド(長い方が望ましい)と使い慣れたリールを用意してください。
私は参考までに、SMITHのTRBX-C84にABUのREVO/STXを装着してみました。
結ぶルアーは重めのスプーンとし、13gを付けて投げてみましょう。
これから行うのはテストであり、ブレーキとサミングの感覚を養うのが目的になります。
意図して重いスプーンにし、安心で安全な状況下でスプール回転を親指で感じてみてください。

→最初に第二章のBに書いてある様に機械ブレーキを調整します。
 ロッドティップを振った分だけラインが出る程度に強めにしましょう。

回転ブレーキはMaxにし、とりあえず投げてみます。
  手首で投げる動作にせず、肩をも回して投げる感覚の余裕の大振りにしましょう。
  ・・・バックラッシュは起こらないが、全く飛びもしませんネ。(笑)
  この位ブレーキが強いと、ロッドを持って行かれる感触がします。

機械ブレーキはそのままで、徐々に回転ブレーキを弱めてキャストを繰り返してください。
 ルアーが飛行中にも回転するスプールに触れ、徐々に減速させる様にサミングの感覚を。
 早く落としても構いませんので、必ずサミングで減速させて止めてください。

→1回2回ではダメです。安心出来るブレーキの範囲でサミング感覚を覚えないと意味がないです。
 フルキャストする必要はないですので、100%自信が持てるまで感覚を養ってください。
 最初はリリースした直後からスプール回転を親指で感じようと心掛けてください。
 その為にも重いルアーをノビノビとキャストしているのですから。

→同じロッドで同じリールで同じルアーで、安心・安全を親指で感じてください。
 徐々にも回転ブレーキを弱め、飛距離がグングン伸びるのを体感してください。
 飛距離が伸びる程に、スプールを制御する時間的余裕も出て来るでしょう。

→もう大丈夫だと、このルアーでこのキャストで回転ブレーキのベスト点まで把握したゾと、
 そしたら徐々に機械ブレーキを弱めてみましょう。
 そこで糸フケを感じるようならば、回転ブレーキを1ランク強く。
 理想のブレーキ調整は、飛行中バックラッシュをサミングで防げる位の弱さ。
 サミングの感覚を覚えたならば、少なくとも着水バックラッシュはもう皆無ですネ。

→カッコつけてコンパクトに振ると、リリースタイミングを掴み難いので注意が必要です。
 ベイトキャスティングは、長めなロッドで柔らかめで、重めなスプーンが感覚が掴み易いです。
 いいですか、バックラッシュは恥だと思ってパーフェクトを目標にしてください。
 常に危険を冒して40m投げるよりも、100%で35mの方がもっと釣りになると思います。




第五章:バックラッシュを起こし難いシステム?

→リールのメンテナンス
 日頃から家族にも友人にも、切れない刃物と滑らないスキーほど危険なモノはないと教えています。
ベイトリールもまたしかり、ベアリングのメンテはライン管理と同等に行ってください。
回りの悪いリールでいくら頑張っても、無駄な力ばかりでマトモに投げられないはずです。
大袈裟に言えば、たった2個のベアリング洗浄だけでも新品同様の回転になります。
 ホームセンター・カー用品店などで脱脂スプレー(ブレーキクリーナー等)を買って来て使うのが便利です。私は家にも車の中にもいつも常備してあります。ベアリングの隙間から内部に脱脂剤を噴射して洗浄します。噴射の勢いでベアリングが回転しないならば、そんなベアリングは新品に交換してください。また、回してゴロゴロと異音がする場合はゴミが入ってる可能性もありますので、バラせないタイプのベアリングならばもっと洗浄するか新品に交換を。
 洗浄後は温度差で結露しやすいので、十分に乾かしてください。オイルはグリスなどは絶対に付けず、サラリとしたオイルが望ましいです。オイルを注油した後は乾いた布かティッシュペーパーの上に密着するように置き、余分なオイルを吸い取ってください。
 旧ABUのリールの様にレベルワインダーがシンクロするタイプは、このレベルワインダー周りも十分に洗浄して同じくサラリとした粘度の低いオイルを注油しておきましょう。


→軽量スプール
 ベイトリールは、ラインを巻いた状態でスプール重量が軽ければ軽いほどバックラッシュを起こし難くなります。リリースした時にスプール重量の慣性で初速が食われますし、重ければ重いほどにブレーキのツキも悪くなります。初速を食われないって事は飛距離も延びます。まぁ、慣れないと過回転で初期バックラッシュの餌食ですが、ここまで読んで納得してくれた方ならば安心してオススメいたします。
 純正スプールは耐久性や様々なラインキャパの関係で、糸巻き量も多く重く丈夫に作ってます。実際の釣行で使うラインなんて、何度も根掛かりしても100mもあれば十分でしょう。でも純正スプールだとその100m以上に死に糸(下巻き)をせねばならず、この使われないライン重量は無駄以外のナニモノでもありません。

 社外品のカスタムパーツで、軽量&浅溝タイプのスプールが数多く出ています。
   釣り具のオプションパーツ屋“Avail”
この店もその一つで、地元釣り仲間としていつも御世話になっています。
私は、、、ABU2500C/5000C/REVO/シマノ赤メタと、全てのリールに軽量スプールを装着しています。
 『バックラッシュなど起きるハズもナイ!!』



 先にも書きましたが、クソ重いオールドABUで長年鍛えたこの親指を持ってすれば、Availのスプールを組んだベイトリールなぞはオモチャも同然。晩秋の真っ暗闇の新月の海でも、空気抵抗の大きなエギを投げてアオリイカを釣るのです。ポイントも着水地点も見えない闇夜でも、ノントラブルでベイトリールで投げマクッております。これもひとえに信頼出来るスプールと、微かなベアリング音と親指での成せる技なのです。せっかくアオリイカの群が入って釣れ出しても、バックラッシュなんて1度でもしていたら釣りにならないでしょう。例え軽量スプールでも、ソレを制御するのは親指なのです。

 後にも先にも親指を鍛えなさいと、最新鋭のスプールやブレーキに頼っていても、バックラッシュを起こして泣きを見るのはあなた自身だと、当サイトはソレだけが言いたくてあるのです。ベイトリールは素晴らしいリールです。真っ当に使えればライントラブルはどんな高級スピニングリールよりも少なく、ラインも痛まず、飛行中に微妙なるラインコントロールをも可能にし、ダイレクトにルアー感触を捉え、ダイレクトにアタリを捉え、そして優秀なドラッグでバラシも激減。

 私は自称100発100中にして、少なくとも人前ではバックラッシュは見せません。 (^^;
 ベイトリール愛好家の皆様にも是非とも親指を鍛えて頂き、指紋をスリ減らし、
 この世の中からバックラッシュの根絶と撲滅を、ベイトマスターと言われる栄誉を心から願うものです。


 「ソレでもバックラッシュしてしまう人はどうするんダ!」
 ・・・と?
 あなたの持ってる最新ベイトリールは机の中に仕舞い、
 早急にオールドタイプのABUを買って純正スプールで鍛え直してください。
 10年もすれば嫌がおうでも身体で覚えると思いますゆえ。
 そんな心の余裕が無いのなら、潔くスピニングにでも転向して遠慮なく水面を叩いてください。

〜以上 by野良屋


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